シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター54:SARDS,それは原因不明の失明する病気。

      2019/07/22

SARDS(Sudden Acquired Retinal Degeneration Syndrome)突発性後天性網膜変性症候群と言って、急性発症の失明を起こす病気である。病因は不明だが、網膜に対する自己免疫疾患であろうと言われている。発症して数ヶ月で失明し、治療法はなく、失明してしまうと二度と見えるようにはならない病気である。
先日の眼科セミナーで学んだ病気の一つであるが、診断が出来ても治療法も無く、ただ見ているだけと言うのは、獣医師としては、非常にフラストレーションが溜まる。
そんな中、AAHA(アメリカ動物病院協会)のニュースで、この病気の新しい診断と治療法が紹介されていた。
それによると、感染初期に青色の光(480nm,200kcd/m2)に対する瞳孔の対光反射は強いが、赤色の光には反応しないと言う。
治療は、免疫グロブリンの点滴である。この免疫グロブリン療法、以前このニュースレター46で書いたが、この治療で病気の進行が抑えられたと言うことは、この病気が免疫疾患であったという証であろう。
この治療、進行を止めるだけで完治できない。障害を受けた網膜はもとに戻らないため、以前の視力は望めないが、早く診断が出来れば少しでも障害を少なく出来る。この治療、まだ試験段階であるが、何も出来ないと言う絶望的なフラストレーションから、少しでも開放されそうである。
ところでこのSARDS.よく似た言葉でSARSとSIRSがある。どれもサーズと読むのだと思うのだが、実に紛らわしい。
SARSはご存知、重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)の略。SIRSは全身性炎症反応症候群(Systemic Inflamatory Response Syndrome)の略。専門用語の略語は、使い慣れている人には便利いいのだろうが、知らない私には何の略だろうか探すことにフラストレーションが溜まる。

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