病気予防
混合ワクチン接種方法について
当院では、過剰な抗原刺激をなくし、副作用低減のため世界小動物獣医師会(wsava)で推進されているワクチン接種ガイドラインに基づき、混合ワクチン接種を行っています。
接種方法を簡潔にまとめると以下のようになります。
1、初年度(幼児期)は生後2ヶ月から4か月の間にワクチンを2~3回接種
2、最終ワクチンの1年後に追加接種を1回実施
3、以降3年に1回の接種となります
ただしレプトスピラ、猫白血病ウイルスなどに関しては1年に1回の接種が必要となります。
また、ペットショップやトリミングサロンによっては毎年のワクチンの接種を義務づけている所も少なくありません。その場合は、飼い主様とお店側とで良く話し合って、ワクチン接種を検討してください。
フィラリア
フィラリア症は検査と予防が大切です
フィラリア症とは、蚊が媒介する寄生虫です。成長したフィラリアは20~30cmにもなり、犬の心臓や血管に寄生し、さまざまな形で犬の体調を悪くする病気です。
予防薬が登場するまでは、犬の死亡原因の上位でした。近年では予防薬の普及により死亡原因の上位に来ることはなくなりました。これは予防を確実に行えば感染を防げる病気ですので犬猫を飼うには、必ず予防が必要です。
最近では、投薬しやすいようにいろいろな剤形のものが出ています。
予防で肝心なことはどの薬においても、必要な期間、確実に投薬することです。
またフィラリアの予防を始める前には、フィラリアに感染してないかどうかの検査が重要です。これは感染している犬に予防薬をあたえると、フィラリア症の症状が悪化することがあるからです。
蚊を介した感染のステップ
投薬を始めるタイミングと終えるタイミング
基本的には、蚊が出始める時期から始め、蚊がいなくなってから1ヵ月後まで行います。
岡山県内では4月の終わりから11月の終わりぐらいまでが予防期間となります。またこの期間外で温暖な地域に滞在された場合は感染のリスクがありますので、追加の予防をお勧めします。
猫にも感染するフィラリア症
フィラリア症といえば、犬だけに感染すると思われがちです、しかし実は犬に比べて感染率は低いものの猫にも感染します。日本における猫のフィラリア感染率は12%近くといわれ、決して低いとはいえません。
通常犬では、フィラリアの感染を調べるのは、血液中のミクロフィラリアを顕微鏡で見たり、血液検査で抗原検査を行います。しかし、本来犬に寄生する寄生虫のため、猫の体内では生存しにくいため、寄生も少数です。このため、通常の検査では発見が困難であることが多いです。
治療法も確立されたものはなく、対症療法が主体となります。また室内飼育でも感染例の報告があり、必ずしも室内だから安全だとは言えません。犬と同じく予防することが一番重要となります。
ノミ・ダニ
感染すると
ノミやダニが動物の体に寄生すると、貧血や激しい痒みを引き起こすだけではありません。ノミは動物の消化管に寄生する瓜実条虫を媒介します。また、マダニは赤血球に寄生するバベシアを媒介します。バベシアは感染すると完全に一掃する事ができず重篤な貧血を引き起こすことがあります。
予防時期
エアコンの普及によって、家内では一年中ノミやダニが活動している可能性があります。周囲の動物や人にも寄生することがあるので年間を通じて定期的に予防薬を投与するのが理想です。
予防薬
市販の動物用医薬部外品は、持続力の短いもの、また体に有害なものもあります。
ノミによっておこる問題
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミによる吸血が繰り返されると犬や猫がアレルギー状態となり、発疹や脱毛を伴う皮膚炎をおこします。アレルギー状態になるとノミが寄生するたびに、皮膚炎を起こしてしまいます。
瓜実条虫
ノミの幼虫が瓜実条虫の卵を食べ、その体内で発育します。 成虫になったノミを犬や猫がグルーミングの際に飲み込んでしまうことにより、瓜実条虫が小腸に寄生し、下痢や嘔吐の原因になります。
貧血
大量のノミが寄生すると、吸血により貧血を起こしてしまいます。特に子犬や子猫では体が小さいのでノミの吸血による影響が大きくなる場合があります。
ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)
発熱、元気消失などの症状が見られ、ヘモプラズマが血液の赤血球の表面に寄生することで、赤血球が破壊され、貧血を起こします。
猫ひっかき病
バルトネラという菌によって起こる、人に感染する病気です。感染猫からほかの猫にノミが媒介します。猫には症状は出ませんが、感染した猫に人が引っかかれたり、噛まれたりすると、リンパ節がはれて、数か月続く発熱や頭痛を起こすことがあります。
マダニよっておこる問題
バベシア症
バベシア原虫が赤血球に寄生、破壊することにより、貧血、発熱、食欲不振や黄疸などがみられ、重度の場合死に至る危険性もある病気です。
ライム病
ペットや人にも感染し、犬では主に神経症状、発熱、食欲不振などの症状が、人では皮膚症状や神経症状、関節炎などの症状が見られます。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
2012年に初めて日本で重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)といわれる新しいウイルスが確認されました。SFTSウイルスは西日本を中心にマダニを介して人に感染しています。イヌやネコへも感染はしますが、今のところ発症した報告はありません。しかし、イヌやネコが持ち帰ったマダニによって人が咬まれる危険性があります。
公開日:
最終更新日:2019/11/18