シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター27:犬インフルエンザ・パート2

      2019/08/01

以前このブログで書いた、犬のインフルエンザのニュースがテレビに流れていた。全米とカナダの一部で流行っており、かなりセンセーショナルに取り上げられてるらしい。
その後の情報では、感染率は、30-40%で死亡率は数%である。このウイルスはA型インフルエンザでH3N8タイプである。
馬インフルエンザの異種間感染と言うことで、フェレットや猫などのコンパニオン・アニマルが調べられたが、まだ感染した事実はない。今のところ犬だけである。
ワクチンはまだ出来ていない。病院で出来る検査キットは、2-3年の内に出来そうである。
治療は、安静にして、適切な抗生剤の使用で合併症である肺炎を防ぐことである。死亡例はほとんどが重篤な肺炎によるからである。
感染率が高いため、病院や犬舎での感染に注意すべきである。
もし日本で流行ったら、抗生剤以外にインターフェロンの使用の考えても良いのではと思う。ジステンパーやパルボなどのウイルス感染症にある程度の効果が認められているからである。
タミフルなどの抗ウイルス薬は、安全性が確認されておらず、今後の課題であろう。また使えたとしても、初診時には、発症して数日経過していることが多く、その使用時期を逃していることが多いため、実際は使われないかもしれない。
インフルエンザ・ウイルスは、これで鳥、豚、人、馬、一部の水棲哺乳類、そして今度は犬と、その感染を広げてきた。恐るべき生き残り戦略である。種特異的なウイルスが多い中、どんどん変異して異種間で感染する能力を持つ。まさにA struggle for lifeである。

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