シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター73:第三世代のワクチン、DNAワクチン

      2019/07/20

今までのワクチンと言うと、病原体の毒性を弱めた生ワクチンと、病原体を不活化して作る不活化(死菌)ワクチンが主である。
生ワクチンは免疫効果は高いが、病原性が出たりする危険がある。不活化ワクチンは効果は低いが、病原性は、十分不活化されているため問題ない。しかし免疫力を高めるために、複数回接種したり、抗原を沢山入れたり、免疫反応を刺激するアジュバントを加えたりする必要がある。そのためアレルギー反応が出やすいと言う欠点もある。また、ワクチンを作るのに、培養する卵や細胞を準備して培養するなど、時間と経費がかかるため、新型インフルエンザが出ても直ぐには対応できない。
次に遺伝子工学の発展でできたのが、遺伝子組み換えワクチンである。
これは、病原体のDNA遺伝子の一部を病原性のないウィルスに組み込んでワクチンにしたものである。病原体の遺伝子を組み込まれたウィルスが接種されると、体内の細胞に取り込まれ、その細胞内で病原体の遺伝子が病気の抗原を作ることで免疫反応が起きる。細胞内で抗原が複製されるため、免疫反応は生ワクチンと同じように液性免疫と細胞性免疫の両方を獲得でき高い免疫効果が得られる。他の遺伝子組み換えワクチンとして、大腸菌などの細菌に、病原体の遺伝子を組み込んで免疫反応を起こす抗原を作らせ、それを精製してワクチンにするというのもある。この場合は、不活化ワクチンと同じで液性免疫しか獲得しないので、アジュバントを加えるなどして、免疫反応を高める必要がある。
次に開発されたのが、第三世代のワクチンであるDNAワクチンである。
これは病原体ウィルスのDNAの一部を細菌ノループ状DNA(プラスミド)にくみこみ、それを直接筋肉内に接種し、筋肉細胞内で免疫応答をおこす抗原を複製させて免疫ができるというワクチンである。
病原体の一部のDNAなので病原性はないが、DNAが注入されることによりその細胞のガン遺伝子になんらかの作用をして発ガン性が出るとか、持続して抗原が作られるため、免疫が刺激され慢性の炎症が起きたり、自己免疫疾患が起きるなどと危惧される。そうゆう問題がクリアーされると、従来のに比べて、製法も簡単であるため、安くて大量生産可能なワクチンが出来るという事になる。現在、人ではまだ実用化はされていないが、HIVやインフルエンザなどで研究がなされている。動物では、ウマの西ナイルウィルス感染症、以前ここのブログでも取り上げたが、犬の悪性黒色腫(メラノーマ)に対するDNAワクチンがアメリカで実用化されている。
このワクチン、感染症以外にも、ガン、アレルギー、アルツハイマーなどの病気に対しても研究がなされて大いにその成果が期待されるワクチンである。

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