シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター5:猫の尿路結石

      2019/08/01

アメリカの9つの病院で’80~’99までの猫の尿路結石を調べた結果、上部尿路結石(腎臓から膀胱入り口までの結石)が10倍増え、その内シュウ酸カルシウム結石は、50倍も増えたとのこと。(C Lekcharoensuk,CA Osborn,JP Lulich,et al.'05 Vol,41 No.1 JAAHA)いままで私たち臨床家にとって、猫の尿路結石といえば、下部尿路結石(膀胱から尿道出口までの結石)が主で、その結石はスツルバイト結石がほとんどでした。それゆえ、つい猫の尿路結石=下部尿路結石と思い込んでしまいやすくなっていました。この報告は、猫の尿路疾患がきたら、上部尿路系の検査も忘れないようにという警鐘でもあります。
スツルバイト結石は、マグネシウム、リンのバランスの悪いフードを食べることによってできやすいが、食事療法で結石を溶かすことができます。
最近はフードメーカーのスツルバイト結石対策によって、スツルバイト結石は減ってきたのだが、そのために今度はシュウ酸カルシウム結石が増えるという皮肉な結果になっています。この結石は溶かせないため
手術で取るしかありません。幸い、予防的食事はありますので、心配な方は動物病院にご相談ください。ただしこれらの尿結石予防のフードは、水を多く飲んで、尿を増やすために塩分を増やしております。ですから高齢猫にとって高血圧症、腎不全と言う問題が起きますので、それにあった減塩フードにします。幸い下部尿路疾患は高齢になると減ってきますので、結石予防食から減塩食に変えても良いと思います。

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