シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター３７：イアン・ダンバー博士のドッグ・トレーニングセミナー
2019/08/01
私が獣医師になったきっかけは、一冊の本であった。
３０年前、神戸の会社に勤めていて、同僚と飲みに行く待ち合わせの時間つぶしに寄った本屋で何気なく気になり手に取った本であった。
｢攻撃｣という題で、著者はノーベル生理学賞を受賞したコンラッド・ローレンツ博士。工学部を出た私は博士が何者かも知らずただ人の攻撃性について書いている本かなと思って読んでみた。ところがそれは動物行動学について書かれたもので、博士の動物に対する深い愛情と科学者の目で動物の行動を解き明かす内容に一気にはまり込んでしまったのである。当時動物行動学という学問はまだ新しい分野で、日本では京大のサルの研究ぐらいしかなかった。サル以外の動物について勉強したかったので獣医学を選んだのであるが、行動学をやっている獣医学科はなく結局行動学については自分で色々本を読んで終わってしまった。そんな中、今から１４年前にJAHAのセミナーで獣医行動学者であるイアン・ダンバー博士の愛情たっぷりでそれでいて科学的な犬のしつけ、問題行動対処法を聞き、すっかりファンになってしまった。まさに私が求めていたものであった。それ以来ダンバー博士のセミナーには出来るだけ出席している。今年も７月に獣医師向け、ペットショップ向け、一般向けとセミナーが開かれる。興味のある方は、ぜひとも参加を。きっとダンバー博士のファンになると思うよ。