シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター32;ペットフードにカビ毒、多数の犬が犠牲

      2019/08/01

昨年末、アメリカのペットフード・メーカー(ダイヤモンド社)が製造したペットフードにカビで汚染したトウモロコシを使用したため、そのフードを食べた犬が死亡したという。この記事を読んだ時、ニュースレターに書こうかと思ったが、死亡頭数が約20頭ぐらいで、F.D.A.の勧告で回収されているみたいだし、手元の資料でダイヤモンド社を調べたが見当たらなかったので、まあいいかと書かなかった。
しかし、昨年、このカビ毒(アフラトキシン)の診断をしたコーネル大学の1月のニュースを見ると、確定診断された犬の死亡頭数は、100頭を超えており、まだ被害は広がっており、また、日本にも輸出されていたので書くことにした。
メーカーの回収努力不足から、知らずに与えて被害が広がっており、市民から非難が起きている。メーカーの言うには、汚染フードを製造した工場からの日本への出荷はないとのことらしいが・・・。
アフラトキシンと言うカビ毒は、アスペルギルス属の中の数種類のカビによって作られる。このカビは、収穫前及び貯蔵中の穀物やナッツ類に付き、増殖する。
カビであるから、当然貯蔵状態が悪いと、どんどん増殖する。ですからこの会社は、品質管理体制の悪いメーカーだということであろう。
このアフラトキシン、肝臓でDNAレベルでの蛋白合成阻害により、低コレストロール血症、高ビリルビン血症、肝酵素ALTの上昇、血液凝固障害を起こす。
激しい肝臓障害のため、食欲廃絶、嘔吐、衰弱、黄疸を示し。血液凝固障害により、吐血や皮下出血を起こす。解毒剤は無く、支持療法のみである。
アメリカの動物病院に連れてこられた飼い主の半数は、この汚染フード問題を知らなかったと言う。中には、食べないので、好物を混ぜたりして食べさした飼い主もいたと言う。メーカーの責任は大きい。企業イメージを損なうことを恐れたのであろうが、もっと徹底したリコールをすべきであった。
キャットフードも汚染しているのに、確定診断された死亡例は無く、フードを食べて死んだという報告が2例あるだけである。なぜ猫の被害が少ないか解らない。猫がこの毒に対して強いのか、猫は嗜好性にうるさいので、ちょっと変だと食べないからかもしれない。
昔に比べてペット用の食べ物、品質少しはましになったかなと思ってたが、まだまだなのかな。フード類は増しになったと思うのだが、スナック類、特にジャーキー・ガム類で嘔吐下痢する子が多い。以前サルモネラ菌で汚染してたと言う報告もあった。どんな材料を使用しているか規制が無いだけにメーカーを信じるしかない。

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