シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター14:ノミ取り予防薬の副作用

      2019/08/01

2005年6月3日、米環境保護局(The U.S. Environmental Protection Agency)は、Hartz Mountain社が、同社のペット用ノミ予防薬に、猫と子猫が死亡する副作用あがるかもしれないと言うことで、ラベルの張替え(猫、子猫への使用禁止)と生産中止をすると発表した。
このノミ予防薬は、ペットショップなどで市販されている薬で、成分はPhenothrin(フィノスリン:ピレスロイド系の殺虫剤。一般家庭用殺虫剤。比較的安全性が高い)と、Methoprene(Insect Growth Regulator:I.G.R.昆虫成長阻害剤。昆虫の変態するメカニズムに作用して成長を抑える薬。哺乳類には作用しないので安全)である。
成分を見る限り、日本で市販されているノミ予防薬と変わりはない。ピレスロイド系の殺虫剤は、蚊取り線香などに使われて比較的安全性が高いが、神経作用があり、中毒を起こすと、震え、唾液分泌亢進、運動失調、嘔吐、抑うつ、興奮、発作、呼吸困難、死亡することもある。私は、いままでこのピレスリン中毒を経験したことがないが、子猫や体の弱いペットには使用しないほうが良いだろう。また猫は犬と薬の感受性がかなり違うことがあり、薬の使用には特に注意が必要である。
ちょっと宣伝になるかもしれないが、動物病院のノミ予防薬の方が、安全である。
余談ではあるが、なぜ安全性の高いノミ予防薬なのに、動物病院だけしか販売されず一般市販薬として売られないのか。そこにはメーカーと動物病院の微妙な戦略的関係があるのかもしれない。

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