シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター30:タミフル、犬パルボウィルス感染症に効果。

      2019/08/01

これは、はっきりと検証された研究結果ではないのだが、人のインフルエンザの抗ウイルス薬であるタミフルが、犬のインフルエンザ以外にパルボウィルス感染症に効くという。Veterinary Information Networkでアメリカの獣医師Jack Broadhust が投稿していたのを見ると、1mg/lb.bid で5日ほど飲ますと2~3日で回復したとあった。人のインフルエンザと同じで発症して48時間以内に飲ますことが大切であると言う。
タミフルは、インフルエンザウイルスに特異的に効く薬である。インフルエンザウイルスは、ノイラミニダーゼという酵素を持っていて、この酵素の働きによって感染している。タミフルは、この酵素の働きを抑えることで感染を防いでいる。
しかしパルボウイルスは、この酵素を持っていない。なのに、何故タミフルが効くのか?
これは、パルボウイルスが消化管内の細菌と協力して病状を悪化させていると言う性質によっている。実験的に作った無菌犬に、パルボウイルスを感染させても臨床症状を示さない。しかし、消化管内に細菌がいると重篤な症状を示す。この消化管内細菌の多くがノイラミニダーゼを産生する。パルボウイルスはこの酵素を利用して感染を広めるのである。
ですから、この酵素を阻害するタミフルが効くと言う訳である。
これにより、この怖い犬パルボウイルス感染症の治療法に、新しい選択肢が増えた訳だが、タミフルの犬への使用は、適用外使用となる。よって、飼い主に十分説明して了承を得なければならない。しかし、この病気の恐さを知れば、きっと了承してくれるであろう。
副作用は、今のところ出ていないようである。
また。猫のパルボウイルス感染症(汎白血球減少症)に対しても、タミフルは効果があるみたいである。

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