シンシア動物病院

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シンシア動物病院(倉敷)ニュースレター20:抗生物質耐性菌

      2019/08/01

昨日と今日の朝日新聞に、農協が無許可で動物用薬を販売していた記事が載っていた。抗生物質入りの飼料など販売していたと言う。
いま、人の方で問題になっている抗生物質耐性菌の出現であるが、畜産、水産、小動物病院もその原因のひとつである。抗生物質の乱用がその出現に大きく寄与していることは間違いない。
先日、AAHA(American Animal Hospital Assosiation)のニュースレターで丁度、耐性菌問題が取り上げられていた。耐性菌の出現は人の健康にとって、重大な問題となる。もちろん動物にとってもである。ですから、その使用は出来るだけ、耐性菌の出現を防ぐように用いるべきである。古い薬(第一世代)で対応できるものは、出来るだけそれで治療しその効果が見られない場合のみ第二、第三世代の薬を使用する。当然細菌の培養、感受性試験によって決めるべきである。また、抗生剤の使用が控えられる環境作りも必要である。飼育環境の適正化、病院内の清浄化などである。アメリカのある動物病院のスタッフを検査したところ、ほとんどのスタッフが耐性菌を持っていたという。
新聞を読んでびっくりしたのは、第三世代の薬が入っていたからである。どんな使われ方をしてたのか分からないが、たいした検査もなく使われてたとしたら問題である。
畜産動物の生産性を上げようとすると病気が起こりやすくなる。そこで薬を大量に使用する。結果、人に影響が及ぼされる。公害問題にしてもなんにしても、因果応報。自然からの恵みを分けてもらっているという気持ちで、慎ましやかに生きるのが良いとおもうのだが、そこは人間の業、どこへ行くのやら。

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